換気





うちには

「24時間換気」というスイッチがある。


そして私のベッドは寒い。

ロフトベッドなので天井に近く、冷気がたまりがち。


そして寝転がると、顔の斜め上に

24時間換気口がある。


これを切り忘れると眠れない季節がきた。


切り忘れた と気づいて裸足でハシゴを降り

つめたい床を辿り

玄関の横にあるスイッチを消して

またのぼり、戻る



すると まったくの無音である。



うちにはアナログの時計もない。


自分の内臓が動く音が聴こえる。


秘密基地のようなミニ空間に

本を1冊持ち込んでいるけれど


読むことなく寝てしまうだろう。

それより



あの換気口はどこにつながっていて

出口の先にはなにがあるんだろう

ということを考えてしまう。



すきま風がはいったり

そばを電車が通るような以前の家とは違って

なにもないからこそ

僅かなものが刺激になる。



映画で

目覚めたら狭い部屋に閉じ込められていたり

ゾンビが建物内で繁殖していたり

脱出方法を探そうとするとだいたい換気口になにかある。


そしてそれを思うと

換気口は生命維持に関わるなぁと


わざわざ止めに行って

わざわざ天井の近くで寝る人間がいるのは

滑稽だなぁと


そして眠りにつく。



おやすみなさい

Hiyoko Takai

Composer, SoundArtist, Pianist

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